ペン・オブ・ザ・イヤー2008

サテンウッド

個性とカリスマ

オッテリー・フォン・ファーバーは、世界的な企業であったファーバーカステル社のビジネスを若くして受け継ぐこととなりました。これは、当時の女性としては異例のことです。しかし、その決断をしたローターの選択は賢明でした。 

なぜなら、オッテリーはその豊かな個性と気丈な性格で、一族と事業に新しい光をもたらしたのです。 

オッテリーの居室に併設されたプライベートサロンは彼女にとって、読書や作曲などの造像的な活動を行う理想の空間でした。

この部屋の壁面を装飾した美しい羽目板細工(寄木細工)は高価なインディアンサテンウッドでした。その芳香から「レモンウッド」とも呼ばれる素材で、部屋は「レモンルーム」と呼ばれていました。

1900年頃は、新時代の息吹に包まれながらも、未だに伝統への偏重が強く残った時代でした。技術革新、アールヌーボー、そして近代デザインの黎明期であり、同時に、フランス新古典派のエンパイアスタイルと、ビーダーマイヤー様式(初期のビクトリア朝様式)が再興を遂げた時代でもあったのです。

この画期的な潮流は、ブルーノ・ポールが美麗に創り上げたファーバーカステル城内の「レモンルーム」においてもはっきりと表れています。ブルーノは、建築家・芸術家・デザイナーの顔を併せ持ち、エレガンスとモダンさを組み合わせた表現においては最も成功した人物のひとりと言えましょう。彼の有名な弟子のひとりに、ミース・ファン・デル・ローエ(近代建築三大巨匠のひとり)がいます。また、ファッションデザイナーのカール・ラガーフェルドが深く崇拝していることでも知られています。

 

洗練された美意識

華々しい活気に満ちあふれていたその頃のデザイナーは、より抽象的な形がもたらす可能性にも関心を寄せていました。

自然の美のひらめきと、計算された幾何学的な線・角度が互いに美しく高め合った、ヘリンボーン柄(杉綾模様)はその一例です。主に高級衣類や細かい羽目板細工に用いられるこの模様は、レモンルームのオッテリー夫人のデスクなどを美しく飾りました。 

ペン・オブ・ザ・イヤー2008は、このヘリンボーン模様の美的特徴を最大限に引き出し、微かな動きや回転にも、セグメントの一つ一つの輝きや精密なニュアンスを表現しています。

 

精巧優美な傑作

創造的な発想が高みを目指すほど、その実現にはこの上ないセンスが要求されます。

サテンウッド万年筆には実に84個以上もの微細なセグメントが使われており、その全てが個々に手作業で作られています。模様の全く同じものは一切存在せず、それぞれがボディの相応しい位置に的確に嵌めこまれることで、全体との調和と個々の結合部分の溝を防ぐことができるのです。  

さらに、ボディは何度も磨かれニスを塗ることでより完璧に仕上げられています。ペン表面に施された世界最小の羽目板細工で表現されたヘリンボーン模様は、まさに芸術の域に達しています。 

厳選されたインディアンサテンウッド素材でできたボディは、加工の難しさから、それを実現できるのも選ばれた職人となります。羽目板模様は通常、平面に加工が施されるものですがペンのボディという円柱状の物体に加工を行うことができるのはまさに熟練のマイスターのみです。

 

品質の追求

一本一本にシリアルナンバーがつけられた本製品は、高級木箱に収められ、パンフレットと証明書を添えてお届け致します。 
 
ファーバーカステル伯爵のサインも入っており、年間生産限定品であることと、正真正銘のサテンウッドが採用されていることを証明しています。