翡翠の王国
中国では、翡翠以上に高く評価されている宝石は他にありません。中期王朝において翡翠は、西洋における金やダイヤモンドと同等の地位とされてきました。
何百年も伝わる伝統として、中国の職人は翡翠の加工を高みに極めてきました。神のための宝石として、翡翠は国王や皇帝のために採取・大切に確保されてきました。そして中国道教神話において最高神と伝えられる玉皇大帝の権力や富の表現としても最適な貴石でした。
中国古典では、翡翠は仁・義・智・勇・信の5つの徳が備わるとして重宝されてきました。
オーラを放つ
長寿・幸運・富の象徴として親しまれる翡翠は、いつの時代も特別なオーラを持つものでした。
文明の発展とともに魅惑的な翡翠の工芸品が生み出されてきました。アールデコ期には、優れた宝石商が華麗な翡翠の宝飾品を世に広めてきたのです。それよりも前の時代に、ロシアの著名な金細工職人ファベルジェが翡翠からデスクアクセサリーを作っていたことも知られています。
非常に象徴的であり創造的なエネルギーを持ち合わせたこの翡翠がファーバーカステルの250周年を祝うのに相応しい素材であるのは疑いようがありません。1本の万年筆に8箇所翡翠が採用されており、これはファーバーカステル家が8代に渡り繁栄を続けていることを表しています。ファーバーカステルの創業年にちなみ、1761本の限定生産です。
自然の石の美しさ
翡翠は他に類を見ないほど硬く、加工が難しいとされています。熟練したクラフトマン達が、昔からその腕をふるって加工に取り組んできました。
翡翠の良さを活かしながらの加工には非常に高い技術が要されます。
ペン・オブ・ザ・イヤー2011はロシアンジェードを採用。美しいエメラルドグリーンのネフライトは自然のままのまだらの模様を持ちあわせ、緑色の濃淡と相まって美しい陰影を生み出します。翡翠は通常シベリアで採掘されますが、良質な翡翠が採れる場所は宝石商がそれぞれ秘密にしているものです。今日においても翡翠探しは冒険と言えるでしょう。
ディテールに光る職人技
ペン・オブ・ザ・イヤー本体にはめ込まれる前の段階として、翡翠にはいくつもの加工が行われます。
初めの原石から研磨のプロセスに至るまで、翡翠が持つ自然の美しさを計算して職人は作業に当たります。ごく限られた豊かな経験を持つ職人だけがそれを実現できるのです。天才的な技術を持つ職人が、ひとつひとつの翡翠を手作業でカッティングしていきます。
プラチナプレートと翡翠のコンビネーションで、万年筆はまるで宝石のような輝きを放ちます。ファセット・カットされた胴軸やキャップの宝石は、まさにペン・オブ・ザ・イヤーの歴史を祝福するかのような美しさ。15世紀に創業しドイツ・イーダーオーバーシュタインに長く伝統を持つ、へルベルト・ステファン宝石加工所の職人が精魂込めて最後まで完璧に仕上げています。